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物理学

物理学

原子核物理学入門

Kenneth S. Krane

英語原題: Introductory Nuclear Physics

原子核の性質、崩壊、放射線検出、核反応、核分裂・核融合と応用を扱う古典的な上級入門書です。実験結果から理論を説明し、発展内容を基礎部分と分けています。1987年刊のため、基礎学習には最新データや後年の総説も併用してください。

前提知識: 量子力学入門を含む現代物理の講義、微積分、基礎的な電磁気学。

難易度レベル
上級
学術レベル
学部
nuclear physicsradioactivitynuclear reactionsfissionfusion

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Krane, K. S. (1987). Introductory Nuclear Physics. Wiley.

章の要約

本書は20章、約850ページで、四つの部に分かれる。基礎的な原子核構造(第1–5章)、核崩壊と放射能(第6–10章)、核反応(第11–15章)、拡張と応用(第16–20章)である。出版社は、核崩壊、核反応、核構造に加えて基礎研究と実用的な応用の主要分野を扱う基礎的な原子核物理の入門書と説明している。現象論と実際の実験結果を重視し、理論は例によって補強され、数学や量子論の素養が乏しい学生向けの中核部分と、別の節に置かれたより高度な内容を備える。目次には、短縮して読む場合に連続性を損なわずに省略できる内容が示されている。

第I部 第1–5章:Basic Concepts/Elements of Quantum Mechanics/Nuclear Properties/The Force Between Nucleons/Nuclear Models

基礎部分。第1章は基本的な概念を述べ、第2章は後の章に必要な量子力学を補うので、量子論の講義を受けていない読者も使える。第3章は原子核の測定可能な性質、第4章は核子間の力、第5章は核構造を記述するモデルを扱う。

第II部 第6–10章:Radioactive Decay/Detecting Nuclear Radiations/Alpha Decay/Beta Decay/Gamma Decay

まず放射性崩壊一般を扱い、次に核放射線の検出、続いてアルファ、ベータ、ガンマ崩壊をそれぞれ一章ずつ扱う。ベータ崩壊には理論の節がある。

第III部 第11–15章:Nuclear Reactions/Neutron Physics/Nuclear Fission/Nuclear Fusion/Accelerators

反応機構と中性子物理から核分裂と核融合へ進み、最後に加速器の章で締めくくる。

第IV部 第16–20章:Nuclear Spins and Moments/Meson Physics/Particle Physics/Nuclear Astrophysics/Applications of Nuclear Physics

拡張部分は原子核そのものを越えて、核スピンとモーメント、中間子、素粒子物理、原子核天体物理学、最後に原子核物理の応用の章を扱う。

主要概念

  • 核の性質と核子間の力:原子核について何が測定され、核子間の力がどう記述されるか(第3–4章)。
  • 核モデル:核構造を整理するための単純化された描像(第5章)。
  • 放射性崩壊:放射性崩壊一般と、アルファ、ベータ、ガンマの各様式(第6、8–10章)。
  • 放射線の検出:核放射線を観測する装置(第7章)。
  • 核反応と中性子物理:原子核が入射粒子や中性子とどう相互作用するか(第11–12章)。
  • 核分裂と核融合:エネルギーを放出する反応と、その応用(第13–14章)。
  • 原子核天体物理学:星における原子核物理の役割(第19章)。

批判的分析

長所

  • 実験中心。 出版社は、現象論と実際の実験結果の重視が本書の特徴であり、理論は形式を適用する例によって補強されると述べている。出版社によれば、これは学生が最新の文献を読み、分析する助けになる。
  • 異なる背景への段階的な構成。 数学や量子論の素養が少ない学生向けの中核部分があり、より高度な内容は別の節に置かれ、量子力学の要素の章もあるので、準備段階に応じて使い分けられる。
  • 広い範囲と実用志向。 構造と崩壊のほかに、検出器と加速器、核分裂と核融合、原子核天体物理学、応用の最終章まで含む。
  • 短縮して読むための仕組み。 印の付いた節は連続性を損なわずに省略でき、短い読み方を支える。

短所

  • 刊行年。 1987年の本なので、測定値、加速器施設、天体物理の成果は更新されている。サイトが述べるように、本版は基礎のために有用であり、最新のデータと併用すべきである。
  • 分量。 約850ページあり、1学期では扱い切れない。省略可能と印された節と、後半の選択的な読み方が必要である。
  • 素粒子物理は一章のみ。 拡張部分では中間子物理と素粒子物理が各一章であり、標準模型に関心のある学生は専門の教科書が必要になる。

コースにおける位置づけ

原子核・素粒子物理のコースの中で、Kraneは原子核を中心とする選択肢である。MartinとShawのNuclear and Particle Physics: An Introductionは、基本的な相互作用と実験的証拠から核構造、標準模型まで、二つの分野を学部レベルの一冊で扱い、コースが核と素粒子に分かれる場合に最も近い代替になる。GriffithsのIntroduction to Elementary Particlesは計算を伴う素粒子物理の入門書であり、DoddとGripaiosのThe Ideas of Particle Physicsは理系の背景を持つ読者のための標準模型の簡潔な解説である。Frank CloseのParticle Physics: A Very Short Introductionは数式を使わない概観で、これらのどれよりも前に読める。

原子核物理を学ぶ学生には、まずCloseで全体像をつかみ、Kraneで核構造、崩壊、反応を学び、Kraneが第17–18章でしか触れない素粒子の側はGriffithsまたはMartin & Shawで学ぶ順序が妥当である。

本書の使い方

近代物理の講義で量子力学を少し学び、微積分と基礎的な電磁気学を修めた上級の学部生向けである。ただし出版社は、中核部分は数学や量子論の素養が乏しい学生向けに設計されていると述べている。

実践的な進め方:第1–5章を基礎とし、量子力学の復習には第2章を使う。第6–10章の放射能と崩壊はどのコースでも中核である。その後、コースの重点に応じて第11–15章(反応、中性子、核分裂、核融合、加速器)から選ぶ。拡張部分(第16–20章)は独立したモジュールとして使える。初読では任意と印された節を飛ばし、本書が1987年のものであることから、数値データは最新の表で確認する。