01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Forouzan, B. A. (2021). Data Communications and Networking with TCP/IP Protocol Suite (6th ed.). McGraw Hill.
章の要約
第6版は約866ページで、13の章、6つの付録、参考文献一覧、用語集から成る。出版社によれば、この版では章の数を減らし、TCP/IPプロトコルスイートの構成により忠実に沿うよう大幅な再編が行われた。序文は2つの編成原理を挙げている。第一に、ネットワークはプロトコルの階層化を通じて教えられる。アドレス指定やフレーム化・パケット化といった考え方は複数の層で繰り返し現れ、各層での扱いを比べることでよりよく理解できるからである。第二に、順序はボトムアップである。各層は下の層のサービスの上に築かれるので、読者はアプリケーション層でプログラムがどうメッセージを交換するかを見る前に、物理層でビットがどう動くかを見ることになる。5つの層の後に、より広い話題を扱う3つの章が続く。
第1章:Introduction(序論)
データ通信とネットワークへの導入。プロトコルの階層化を定義し、TCP/IPプロトコルスイートとOSIモデルという、本書の残りで用いられる2つの参照枠組みを簡潔に説明する。
第2章:Physical Layer(物理層)
スイートの第1層。序文によれば、この章はデータと信号の関係を説明し、アナログ信号とデジタル信号を記述し、利用可能な帯域幅を活用する手段として多重化を論じ、最後に物理層の下にある伝送媒体そのものに踏み込む。
第3章:Data-Link Layer(データリンク層)
スイートの第2層で、隣接するノード間の単一のリンク上の通信を扱う。
第4–6章:Local Area Networks: LANs(ローカルエリアネットワーク);Wide Area Networks: WANs(広域ネットワーク);Connecting Devices and Virtual LANs(接続機器と仮想LAN)
具体的なネットワーク技術を扱う3章。ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、そしてネットワークの区間を結びつける機器と仮想LANである。
第7–8章:Network Layer: Data Transfer(ネットワーク層:データ転送);Network Layer: Routing of Packets(ネットワーク層:パケットのルーティング)
ネットワーク層には2章が割かれる。相互接続されたネットワークを越えてホストからホストへデータがどう運ばれるかを扱う章と、パケットの経路がどう選ばれるかを扱う章である。
第9章:Transport Layer(トランスポート層)
プロセス間の配送、すなわちインターネットのトランスポートプロトコルが働く層。
第10章:Application Layer(アプリケーション層)
スイートの最上位層で、プログラムどうしがメッセージを交換する層。
第11–13章:Multimedia(マルチメディア);Network Management(ネットワーク管理);Cryptography and Network Security(暗号とネットワークセキュリティ)
出版社はこれらを、層そのものを越えた話題を探る締めくくりの3章と説明している。ネットワーク上のマルチメディア、ネットワークの管理、そして暗号とそのネットワークセキュリティへの応用である。
主要概念
第1章:序論
- プロトコルの階層化:通信の仕事を層に分け、各層が上の層にサービスを提供するようにすること。
- TCP/IPプロトコルスイート:インターネットの基盤となる階層化されたプロトコル群で、本書の編成の枠組みとして使われる。
- OSIモデル:TCP/IPとの比較のために紹介される7層の参照モデル。
第2–6章:物理層、データリンク層、ネットワーク技術
- データと信号:情報と、媒体上でのそのアナログまたはデジタルな表現との区別。
- 多重化:1本のリンクの帯域幅を複数の信号で共有すること。
- 伝送媒体:物理層の下にある物理的な搬送手段。
- LAN、WAN、接続機器:規模の異なるネットワーク技術と、仮想LANを含め、それらを結びつける機器。
第7–10章:ネットワーク層、トランスポート層、アプリケーション層
- ネットワーク層のデータ転送:ネットワークを越えて送信元ホストから宛先ホストへパケットを運ぶこと。
- ルーティング:パケットがたどる経路を選ぶこと。
- トランスポート層:通信するホスト上のプロセス間の配送。
- アプリケーション層:プログラムがメッセージを交換するためのプロトコル。
第11–13章:発展的な話題
- マルチメディア通信:ネットワーク上で音声や映像を運ぶこと。
- ネットワーク管理:ネットワークの運用を監視し制御すること。
- 暗号とネットワークセキュリティ:各層にわたって通信を保護すること。
批判的分析
長所
- 層ごとに原理を見る。 階層化を通じて教えるべきだという序文の主張は、初学者にとって確かな長所である。アドレス指定やフレーム化といった繰り返し現れる考え方に異なる層で何度も出会うので、その共通の目的がはっきりする。
- 完全なボトムアップの授業。 ネットワーク層の前に物理層、データリンク層、LAN、WAN、接続機器のそれぞれに章を設け、13章のうち5章をネットワーク層より下の層に充て、信号と媒体をそれ自体として扱っている。計算機科学だけでなく、電気電子工学や情報技術の課程にも向く。
- ネットワーク層に2章。 データ転送とルーティングを分けることで、それぞれの話題に十分な紙幅が与えられ、学生がしばしば最も難しいと感じるネットワークの部分の理解を助ける。
- 参照のための仕組み。 6つの付録、参考文献一覧、用語集が、この分野に初めて触れる読者を支える。
短所
- 分量。 約866ページの本書には1学期を超える内容があり、教員はどこを深く扱うかを選ぶ必要がある。
- アプリケーションの登場が遅い。 ボトムアップの順序では、学生がアプリケーション層に到達するのは第10章になってからである。ウェブや電子メールのような身近なサービスに動機づけられる読者や、プログラミング課題のある授業では、上から始めるほうを好むかもしれない。
- 広い範囲を扱うが、発展的な学習には深さが限られる。 最後の3章はそれぞれ一つの分野(マルチメディア、管理、セキュリティ)を1章に凝縮している。プロトコルの詳細な振る舞いやセキュリティを必要とする学生には追加の読書が必要になる。
コースにおける位置づけ
フォルーザンの本書は、ネットワークのコースにおける網羅的でボトムアップの入門教科書である。ダグラス・カマーの The Internet Book は、技術的な背景を持たない読者向けのずっと短い、数学を使わない概説である。全体像をつかむためにフォルーザンの前に読んでもよいし、下位層の詳細がどこに位置するのかわからなくなったときに並行して読んでもよい。カロスとロスの Computer Networking: A Top-Down Approach は同じ5つの層を逆の順序で扱い、アプリケーションから出発してインターネットのプロトコルを設計判断の動機づけに用いる。ウェブやソケットから始めたい授業にとって主要な代替となる。タネンバウム、フィームスター、ウェザロールの Computer Networks はフォルーザンと同様に物理層から上へと階層モデルをたどり、プログラミングとオペレーティングシステムについてある程度の背景を前提とするので、2冊目の教科書として自然である。
その後の学習では、フォールとスティーブンスの TCP/IP Illustrated, Volume 1 が、実際のパケットトレースで振る舞いを示しながらインターネットのプロトコルを説明する。学部のネットワークの授業を前提とするので、第7–10章の後に向く。ヴァルギーズとシューの Network Algorithmics はネットワークのソフトウェアとハードウェアを高速化するための大学院レベルの教科書で、本書をはるかに超える。
本書の使い方
本書は、データ通信またはネットワークの最初の授業を受ける、計算機科学、情報技術、電気電子工学の1–2年生に向いている。出版社の説明ではネットワークの予備知識は前提とされていない。一般的なコンピュータリテラシーと高校までの数学が妥当な出発点で、第2章の信号の内容は、グラフや基本的な代数に慣れていると理解しやすい。
実践的な計画:
- 基礎: 第1章、続いて第2章と第3章。層、信号、媒体、フレームという、以後すべての土台となる語彙が得られる。
- 第4–6章から選ぶ。 計算機科学の授業ならLANと接続機器を扱いWANは流し読みにしてもよい。工学や情報技術の授業なら3章すべてを扱うとよい。
- インターネットの中核: 第7–10章。ネットワーク層の2つの章と、以後のあらゆるネットワークの授業で再び出会うトランスポート層に最も時間をかける。
- 選択: 第11–13章は授業の目的に応じて。第13章はセキュリティの授業への橋渡しとして適している。
各層は下の層の上に築かれるので、5つの層を1ページの図にまとめておき、章ごとに、どの層を扱い、上の層にどんなサービスを提供するのかを書き込んでおくとよい。ネットワーク層とトランスポート層の章はパケットキャプチャツールと組み合わせて実際の通信を観察すると、抽象的なプロトコルの記述が具体的になる。
