01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Prince, J. L., & Links, J. M. (2015). Medical Imaging Signals and Systems (2nd ed.). Pearson.
章の要約
本書は13章、5部構成で、約500ページである。第I部で原理を扱ったあと、各撮像法について物理の章が1つ、続いてその撮像システムを扱う章が1〜2つ置かれ、各章は小括で終わる。
第I部:基本的な撮像原理(第1–3章)
第1章「序論」は、医用画像の歴史、用いられる物理的信号、そして投影X線撮影、コンピュータ断層撮影、核医学、超音波、磁気共鳴画像の概観を示し、マルチモダリティ画像にも触れる。
第2章「信号とシステム」は数学的な基礎である。点インパルスと線インパルス、くし関数と標本化関数、rect関数とsinc関数、分離可能な信号と周期信号、線形シフト不変システムとそのインパルス応答、フーリエ変換とその性質(畳み込み、スケーリング、回転、パーセバルの定理を含む)、伝達関数、円対称性とハンケル変換を扱う。
第3章「画質」は、以降のすべての章で用いる尺度を展開する。コントラストと変調伝達関数、分解能(線広がり関数、半値全幅、縦続接続されたサブシステム)、雑音(確率変数)と信号対雑音比、標本化とナイキストの定理、アーチファクトと歪み、そして定量的正確さと診断的正確さである。
第II部:X線撮影(第4–6章)
第4章「X線撮影の物理」は、電離、電離放射線の種類、X線の相互作用と減衰、放射線線量測定で用いる量を扱う。第5章「投影X線撮影」は、装置(X線管、フィルタ、グリッド、フィルム・スクリーン検出器、イメージインテンシファイア、デジタル撮影、マンモグラフィ)、幾何学的効果とぼけの効果を含む基本撮像方程式による画像形成、雑音と散乱を扱う。第6章「コンピュータ断層撮影」は、世代ごとのCT装置を扱ったのち、線積分、CT値、平行ビーム・ファンビーム・ヘリカル・コーンビームの再構成、逐次近似再構成といった画像形成と、分解能・雑音・アーチファクトによるCTの画質を扱う。
第III部:核医学イメージング(第7–9章)
第7章「核医学の物理」は、放射性崩壊とその法則・様式、崩壊の統計、放射性トレーサーを扱う。第8章「プラナーシンチグラフィ」は、Angerカメラ(コリメータ、シンチレーション結晶、光電子増倍管、位置決定ロジック)、その撮像方程式、分解能・感度・均一性・雑音といった画質の要因を述べる。第9章「放出型コンピュータ断層撮影」は、SPECTとPETの装置と画像形成、逐次近似再構成、そして減衰、散乱、偶発同時計数を含む画質を扱う。
第IV部:超音波イメージング(第10–11章)
第10章「超音波の物理」は、波動方程式から始め、波の伝搬(反射、屈折、減衰、散乱、非線形伝搬)、ドプラ効果、ビームパターンの形成と集束を扱う。第11章「超音波イメージングシステム」は、トランスデューサとプローブ、パルスエコー方程式、Aモード・Mモード・Bモード走査、ビームフォーミングによるステアリングと集束、3次元イメージング、分解能、雑音とスペックルを扱う。
第V部:磁気共鳴画像(第12–13章)
第12章「磁気共鳴の物理」は、微視的・巨視的な磁化、ラーモア周波数での歳差運動、RF励起、緩和、ブロッホ方程式、スピンエコー、基本的なコントラスト機構を展開する。第13章「磁気共鳴画像」は、システムの構成要素(磁石、傾斜磁場コイル、RFコイル)、スライス選択・周波数エンコード・位相エンコードや実際のパルスシーケンスを含むデータ収集、画像再構成、画質、高度なコントラスト機構を扱う。
主要概念
第I部:基本的な撮像原理
- 線形シフト不変システムとフーリエ変換:本書のあらゆる撮像システムをモデル化するための道具立て。
- 変調伝達関数と分解能:システムの空間周波数に対する応答がぼけをどう記述するか。
- 信号対雑音比と標本化:雑音の尺度とナイキストの標本化定理。
第II・III部:X線撮影と核医学イメージング
- 減衰と基本撮像方程式:X線の透過がどのように投影画像になるか。
- 投影からの再構成:CTと放出断層撮影のための平行ビーム、ファンビーム、逐次近似の方法。
- 放射性崩壊とAngerカメラ:シンチグラフィの物理と撮像方程式。
第IV・V部:超音波と磁気共鳴画像
- パルスエコーイメージングとビームフォーミング:エコーの時間を測り、ステアリングし、集束して画像にする仕組み。
- ラーモア歳差運動、緩和、ブロッホ方程式:MR信号の物理。
- 傾斜磁場エンコード:スライス選択、周波数エンコード、位相エンコード。
批判的分析
長所
- すべての撮像法に共通の枠組み。 著者らは序文で、信号処理が基本的な視点であると述べており、目次にも同じ順序、すなわち物理、装置、画像形成、画質が繰り返されている。そのため学生は、同じ数学を1つの撮像法から次の撮像法へ持ち運べる。
- 画質が組み込まれている。 第3章はコントラスト、分解能、雑音、正確さを一般的な形で導入し、これらの話題は、序文の説明のとおり、X線撮影、CT、核医学、超音波、MRIの各章の画質の節で再び現れる。
- 教えやすい構成。 著者らは、ジョンズ・ホプキンス大学の1学期の上級または大学院向けコースで草稿を使ったと述べ、第I〜III部と第IV・V部に分ける2学期制も提案している。各章は小括で終わり、出版社は、興味を引く例題と豊富な画像・図を、生物学的に関連する例も含めて紹介している。
- 要所での数学的な深さ。 目次には、ブロッホ方程式、パルスエコー方程式、Angerカメラの撮像方程式、平行ビームおよびファンビームのCT再構成といった導出が挙げられている。
短所
- 前提知識の要求が高い。 出版社は、信号とシステムの前提科目と初等確率を修めた工学系の学生に最も適していると説明し、著者らの序文は1年次の物理学・化学・微積分を加えている。信号の科目を学んでいない学生は、第2章を丹念に学ぶか、先にその科目を履修する必要がある。
- 物理と生物学は最小限。 序文によれば、内容は信号に焦点を当て、各撮像法の動機づけと解析のモデルを与えるのに十分な物理と生物学だけを含む。臨床の実際、診断、装置の詳細は中心ではない。
- 範囲が限られている。 目次は5つの撮像法を扱い、MRIで終わる。画像解析、セグメンテーション、可視化の章はなく、マルチモダリティ画像は序論にのみ登場する。第2版についての独立した書評は見つからなかった。
コースにおける位置づけ
Prince と Links は、このコースの図書リストで、医用画像を信号とシステムの立場から扱う1冊である。Suetens の Fundamentals of Medical Imaging は、同じ撮像法をより短く、図版豊富に概観し、画像計算と可視化も扱い、数学を読み飛ばせる段落に置いている。最初の通読には軽く、信号処理を土台にしたコースなら Prince と Links のほうがよい。Smith と Webb の Introduction to Medical Imaging は主要な臨床撮像法への簡潔な入門であり、Wolbarst らの Medical Imaging: Essentials for Physicians は、装置を作るのではなく画像を使う読者のために書かれた概念的な入門である。
The Essential Physics of Medical Imaging は、放射線科レジデントや医学物理士向けの総合的な参考書で、Prince と Links より臨床と放射線防護の内容が多い。Barrett と Myers の Foundations of Image Science は、撮像システムの数学、統計、課題に基づく評価を扱う大学院レベルの書物であり、ここでの画質の章と信号の枠組みを学んだあとの自然な続きとなる。
本書の使い方
本書は、信号とシステムの科目を修めた、生体医工学または電気工学の上級学部生と大学院1年生に適している。第2章と第3章は丁寧に学ぶこと。以降のすべての章がその記法と画質の尺度を再利用するからである。そのあとは、撮像法を本の順序で、あるいは関心に応じて進む。各撮像法では、物理の章を撮像システムの章より先に読み、画像方程式を自分で導出してみるとよい。
1学期のコースでは、著者らは一部の内容を飛ばし、速いペースで進めると述べている。妥当な選択は、第I部、X線撮影とCTの章、そして核医学・超音波・MRIのうち1〜2つである。第IV・V部は2学期目に向いている。章末の小括で要点を確認し、例題に取り組むこと。
