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Medical Imaging: Essentials for Physicians(医用画像:医師のためのエッセンス) cover

生体医工学

生体医工学

Medical Imaging: Essentials for Physicians(医用画像:医師のためのエッセンス)

Anthony B. Wolbarst; Patrizio Capasso; Andrew R. Wyant

英語原題: Medical Imaging: Essentials for Physicians

スキャナを作るのではなく画像を使う読者のために、医学物理士1名と放射線科医2名が書いた、主要な医用画像モダリティの仕組みの概念的入門書。各手法の背後にある物理を言葉と図で説明し、それを画質や臨床での使い方に結びつけ、放射線のリスクと安全についても全体を通して扱う。

前提知識: 高校程度の物理。微積分、信号処理、工学の素養は不要。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
medical imagingradiologyctmriultrasoundradiation safety

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Wolbarst, A. B., Capasso, P., & Wyant, A. R. (2013). Medical Imaging: Essentials for Physicians. Wiley-Blackwell.

章の要約

本書は約430ページで、医学物理士、インターベンショナル・ラジオロジスト、そして放射線医学の特別な訓練を受けていない救急医の3人によって書かれた。出版社は本書を、意図的に簡潔で細部に立ち入りすぎない本と説明しており、画像診断について同僚と議論し、学生・看護師・技師に説明し、患者に伝えられるだけの理解を必要とする臨床医を対象としている。導入のケーススタディのあと、13の章が、全モダリティの概観から、画質と線量、新旧のX線画像、放射線リスク、デジタル画像、CT、核医学、超音波、MRI、新しい手法へと進み、推奨文献で締めくくられる。

序論:Doe 医師の頭痛:画像診断のケーススタディ

1人の患者の精査を通して、臨床で使われるモダリティを示す。CT、医用画像保管・通信システム(PACS)、T1・T2・FLAIR の MRI、「仮想生検」としての MR スペクトロスコピー、機能的 MRI、拡散テンソル画像、MR ガイド下生検、病理、PET をどうするかという問題、そして治療と経過観察である。

第1章:標準的な画像モダリティの概略:組織間に目に見えるコントラストをつくるさまざまな方法

主要なモダリティすべてを、それぞれがどのようにコントラストをつくるかという観点から概観する。単純撮影・透視・CT におけるX線の減弱、核医学・SPECT・PET における放射性医薬品の取り込みの差、超音波における組織の弾性と密度、MRI におけるプロトンのスピン緩和である。モダリティの選択に関する付録では、胸痛、腹部・骨盤、頭頸部、筋骨格、血管の画像診断を扱う。

第2章:画質と線量:「よい」医用画像とは何か

コントラスト、分解能、ランダムノイズ、アーチファクトという「画質の四重奏」を導入し、これらを常に患者の線量と比較衡量する。品質保証と、医学的な利益と放射線リスクのバランスも扱う。

第3–4章:一次X線像における被写体コントラストの生成/20世紀の(アナログ)単純撮影と透視

第3章は、X線ビームがどのようにつくられるか、光子が組織や受像器とどう相互作用するか、被写体コントラストがどう生じるか、そしてビームが身体に線量とリスクという形で何をもたらすかを説明する。第4章は、増感紙–フィルム系による撮影、画質を決める要因、マンモグラフィの特別な要件、イメージインテンシファイアによる透視を扱う。

第5章:放射線量と放射線によるリスク

電離放射線への被ばくがなぜ増えたのか、DNA の損傷がどのようにがんなどの確率的影響、高線量での確定的影響、胎児への影響を引き起こすのか、そして放射線安全の原則を説明する。

第6–7章:21世紀の(デジタル)画像/デジタル単純撮影

第6章は、デジタルコンピュータ、画像の取得と表現、画像処理、PACS と RIS のネットワーク、コンピュータ支援検出、ネットワークのセキュリティ、ディスプレイを扱う。第7章は、コンピューテッドラジオグラフィ、フラットパネルによるデジタルラジオグラフィ、デジタルマンモグラフィ、デジタル透視とデジタルサブトラクション血管造影、トモシンセシスを述べる。

第8章:コンピュータ断層撮影:3次元のX線減弱マップにおける優れたコントラスト

CT の画像再構成、7世代のスキャナ、技術と画質、アーチファクト、線量と品質保証を扱い、フィルタ補正逆投影の数学についての付録がある。

第9章:核医学:組織による放射性医薬品の取り込みの差から生じるコントラスト

放射能、放射性医薬品、ガンマカメラ、静的検査と動的検査、SPECT と PET、品質保証と放射線安全を扱う。

第10章:診断用超音波:境界をはさんだ組織の弾性や密度の差から生じるコントラスト

超音波ビームの物理、圧電トランスデューサ、界面での減衰と反射、最大4次元までの Aモード・Mモード・Bモード画像、血流のドップラー画像、エラストグラフィ、安全性を扱う。

第11–12章:1次元・緩和なしの MRI/T1 と T2 緩和の3次元マッピング

MRI への2段階の入門である。難しい主題へのやさしい入門と位置づけられた第11章は、核磁気共鳴を量子論的な見方と古典的な見方の両方から組み立て、続いて1次元の画像化、自由誘導減衰、スピンエコー、MRI の装置を扱う。第12章は、T1 と T2 の緩和、T2* とグラディエントエコー法、2次元・3次元の画像化、流れと動きの画像化を加える。

第13章:発展中および実験段階のモダリティ

光学・近赤外画像、分子イメージングとナノテクノロジー、サーモグラフィ、テラヘルツ・マイクロ波・電子スピン共鳴による画像、電気生理学的画像とインピーダンス画像、光音響画像、そしてコンピューティングの役割を手短に見渡す。

主要概念

序論と第1–2章:基礎

  • コントラストの機序:各モダリティは異なる物理的性質によって組織を区別する。これが本書を組み立てる考え方である。
  • 画質の四重奏:コントラスト、分解能、ノイズ、アーチファクトで、常に線量と比較衡量される。
  • モダリティの選択:臨床上の疑問に合った画像検査を選ぶこと。

第3–8章:X線画像と放射線

  • 減弱の差:組織によってX線の吸収の程度が異なり、それが被写体コントラストを生む。
  • 確率的影響と確定的影響:単一細胞の突然変異から生じうるがんなどの確率的な影響と、高線量で多数の組織細胞が死ぬことによる影響との対比。
  • デジタル画像と PACS:固体受像器、画像処理、ネットワーク化された保存と表示。
  • CT の再構成:多数の投影から減弱の断面マップをつくること。

第9–12章:その他のモダリティ

  • 放射性医薬品:臓器特異的な薬剤に放射性の標識を付け、機能を画像化するもの。
  • 音響インピーダンスとドップラー:組織の境界での反射が超音波画像をつくり、周波数の変化が血流を測る。
  • T1 と T2 の緩和:MRI に軟部組織のコントラストを与えるプロトンの緩和時間。

批判的分析

長所

  • 画像を使う人のために書かれている。 医師の共著者と臨床的な枠組みにより、冒頭のケーススタディからモダリティ選択の付録まで、物理が臨床判断と結びついている。出版社が引用するハーバード大学医学部の Melvin E. Clouse は、放射線科以外の医師を含む医療従事者すべてにとって優れた入門書だと評している。
  • 数学が少ない。 Clouse は、本書が簡単な代数以上の数学をほとんど使わずに、複雑な考え方をわかりやすく示していると述べている。唯一の数学的な付録であるフィルタ補正逆投影は、CT の章の末尾に切り離して置かれている。
  • 線量と安全性を一貫して扱う。 画質は常に線量と比較され、放射線リスクに1章全体が充てられ、CT、核医学、超音波の各章はいずれも線量または安全性と品質保証の節で終わる。
  • MRI へのなだらかな道筋。 2つの章で MRI を段階的に導入する。まず緩和なしの1次元で扱い、次に T1、T2、3次元の画像化を加える。

短所

  • 定量的ではなく概念的。 工学や物理の学生にとっては、導出、信号とシステムによる解析、計算を練習するための問題集が見当たらない。
  • 配分の偏り。 アナログのフィルムやイメージインテンシファイアの技術にいまだに1章全体が割かれている一方、分子イメージングのような新しい話題は最後の概観の章で簡単に扱われるだけである。
  • 古さ。 2013年の刊行であり、その後のデジタル検出器、再構成、ハイブリッドイメージングの発展以前の本である。とくに「発展中の」モダリティの章は、当時の状況を写したものとして読むべきである。

コースにおける位置づけ

Wolbarst、Capasso、Wyant の本は、このコースへの概念的で臨床的な枠組みを持つ入口である。Smith と Webb の Introduction to Medical Imaging は同じモダリティをよりコンパクトに、しかし工学のレベルで扱い、学部上級生や大学院の初学者向けに解答付きの問題と演習を備えている。記述するだけでなく計算したい学生にとって自然な次の一歩である。Suetens の Fundamentals of Medical Imaging と Prince と Links の Medical Imaging Signals and Systems は画像形成を数学的に扱い、後者は共通の信号とシステムの枠組みを用いる。

Bushberg らの The Essential Physics of Medical Imaging は、放射線科の研修医や医学物理士向けの、画像物理と放射線防護についての包括的な参考書であり、Wolbarst らの本はその読みやすい予告編として役立つ。Barrett と Myers の Foundations of Image Science は画質の数学と統計を扱う大学院向けの教科書で、本書の水準をはるかに超える。

本書の使い方

本書は医師のために書かれており、医学生、放射線科以外の研修医や臨床医、フィジシャン・アシスタントを目指す学生、そして数学なしに画像診断のしくみを理解したい生体医工学の学生に向いている。学校で学ぶ物理と代数で十分である。

実践的な進め方:

  • まず序論と第1~2章を読む。 すべてのモダリティの見取り図と、全体を通じて使われる画質と線量の語彙が得られる。
  • X線の流れ: 単純撮影や CT をオーダーするすべての人にとって、第3、5、6、8章が中核である。第4章と第7章は、関係があればマンモグラフィの部分を除き、フィルムやデジタル受像器の技術についてざっと読めばよい。
  • その他のモダリティ: 第9章と第10章は専門に応じて読む。第11章と第12章は、後者が前者の上に直接組み立てられているので、順に続けて読むこと。
  • 第13章は、新しい技術についての任意の背景知識である。

第1章のモダリティ選択の付録を臨床実習と並行して使い、患者とリスクについて話し合う際には線量と安全性の節を読み返すとよい。のちに定量的な理解が必要になった学生は、Smith と Webb、あるいは Bushberg らの本へ進むこと。