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Introducing Genetics: From Mendel to Molecules(遺伝学入門:メンデルから分子まで) cover

生物学

生物学

Introducing Genetics: From Mendel to Molecules(遺伝学入門:メンデルから分子まで)

Alison Thomas

英語原題: Introducing Genetics: From Mendel to Molecules

大学で初めて遺伝学に触れる学生のための短い入門書。全13章で、メンデル遺伝、染色体、性連鎖と連鎖地図から始め、染色体の変異、量的遺伝学と集団遺伝学、DNA、遺伝子発現、DNA操作へと進み、問題と解答を備える。

前提知識: 高校程度の生物。大学レベルの遺伝学や高度な数学の知識は不要。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
geneticsinheritancemendelian geneticsmolecular genetics教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Thomas, A. (2014). Introducing Genetics: From Mendel to Molecules (2nd ed.). Garland Science.

章の要約

第2版は約260ページ、13章からなり、問題の解答、付録、用語集、読書案内、索引が続く。章の順序は副題が示すとおりの伝統的な「メンデルが先」の流れで、メンデル遺伝と染色体に8章、量的遺伝学と集団遺伝学に2章、遺伝の分子的基盤に3章をあてる。出版社によれば、例は昆虫、植物、動物、ヒトから取られ、各章の終わりには問題がある。同じ13章構成をもつ初版(2003年)の書評は、各章が問題の前に要約で締めくくられることも伝えている。

第1章:序論

遺伝学の起源と主要な考え方を扱う短い導入の章(6ページ)。出版社の紹介文によれば、20世紀のあいだに遺伝学がどこまで進歩したかを手短に振り返ることから始まる。

第2–4章:一遺伝子雑種の遺伝/一遺伝子雑種の遺伝の拡張/二遺伝子雑種の遺伝

あわせて約50ページのこの3章は、メンデル式の分析を一歩ずつ組み立てる。まず一つの遺伝子の交配、次にその変形(初版の書評は不完全優性と共優性を挙げている)、そして二つの遺伝子の交配である。同じ書評は、検定交配とカイ二乗検定、そしてスイートピーの花の色を例にした補足遺伝子の節にも触れている。

第5章:遺伝の染色体的基盤

この章はメンデルの因子を染色体に結びつける。初版では体細胞分裂と減数分裂をかなり詳しく説明し、そのうえで分離の法則と独立の法則を染色体の観点から改めて取り上げていた。

第6–7章:性決定と伴性遺伝/連鎖と染色体地図

第6章は性染色体、性の決定におけるその役割、伴性形質の遺伝を扱う。第7章は同じ染色体上にある遺伝子と、乗換えの頻度を用いてそれらの位置を地図にする方法を扱う。初版の書評は、交配、家系図、連鎖解析における検定交配に言及している。

第8章:染色体の数と構造の変異

染色体異常を二つの面から扱う。細胞分裂の中でどのように生じるか、そして遺伝的・表現型上どのような結果をもたらすかである。まず染色体数の変化、次に構造の変化を、植物とヒトの事例とともに取り上げる。

第9章:量的遺伝学の原理

個々の交配ではなく、形質と集団を扱う2章のうちの最初の章。多くの形質がなぜ単純なメンデルのパターンに従わないのかを説明する。初版の書評は、印象的な導入の場面(アンデス高原からパタゴニアの平原へ自慢のジャガイモを移す農家)と、平均値から多因子形質の分析へと進む簡潔で論理的な流れを評価している。

第10章:集団遺伝学入門

初版の書評によれば、この章は対立遺伝子頻度と遺伝子型頻度、ハーディー・ワインベルグの法則とそのメンデル原理からの導出、平衡の検定、そして平衡を乱す要因、すなわち突然変異、移住、遺伝的浮動、選択を導入し、それぞれをグラフ、写真、事例研究で説明している。

第11–12章:分子レベルの遺伝/遺伝子からタンパク質へ

本書の分子に関する部分である。第11章はDNA、その構造と複製を扱う。第12章(約20ページ)は転写と翻訳を通じて遺伝子からタンパク質への道筋をたどる。初版ではこの部分は突然変異の種類で締めくくられ、色素性乾皮症と鎌状赤血球貧血が例として挙げられていた。

第13章:DNAの操作

最終章は、組換えDNAと遺伝子操作の技術、そしてその医療と植物バイオテクノロジーへの利用を紹介する。出版社はこの章を、現在の遺伝学革命を支える技術を扱うものと説明している。初版では、遺伝子組換え作物の利点とリスクをまとめた表が含まれていた。

主要概念

第1–4章:メンデル式分析

  • 一遺伝子雑種交配と二遺伝子雑種交配:一つまたは二つの遺伝子を世代を追って調べ、遺伝の仕方を推定すること。
  • 不完全優性と共優性:単純な優性からの逸脱で、ヘテロ接合体が中間の表現型や両方の表現型を示す。
  • 検定交配:劣性ホモ接合体と交配して、個体の遺伝子型を明らかにすること。
  • カイ二乗検定:観察された子の比が期待される比に合うかどうかを調べること。

第5–8章:染色体

  • 遺伝の染色体説:遺伝子は染色体に乗っており、減数分裂での染色体のふるまいがメンデルの法則を説明する。
  • 伴性遺伝:性染色体上の遺伝子の遺伝のパターン。
  • 連鎖と染色体地図:同じ染色体上の遺伝子間の組換えを用いて、相対的な位置を推定すること。
  • 染色体異常:染色体の数や構造の変化とその結果。

第9–10章:量的遺伝学と集団遺伝学

  • 量的形質:連続的に変化し、複数の遺伝子と環境に依存する特徴。
  • ハーディー・ワインベルグ平衡:進化していない集団で期待される遺伝子型頻度。
  • 平衡を乱す要因:突然変異、移住、遺伝的浮動、選択。

第11–13章:分子遺伝学

  • DNA複製:遺伝物質の複写。
  • 転写と翻訳:遺伝子からそのタンパク質に至る二つの段階。
  • 組換えDNA:異なる由来のDNAを組み合わせて遺伝子をクローニングし、生物を改変すること。

批判的分析

長所

  • 明快で図が豊富。 2004年の Heredity 誌に掲載された初版の書評は、その説明を明快で分かりやすいと評し、実例、図表、写真が導出を分かりやすくしていると述べた。出版社が引用する第2版の書評(The Biochemist 2015年4月号と、2015年7月の遺伝学誌)は、簡潔さ、注釈の行き届いた図、用語集を評価し、予備知識がほとんどない読者に勧めている。
  • 解答つきの問題。 各章の終わりに問題があり、巻末には約20ページにわたる解答がある。このため独習にも、試験前に答えを確かめるのにも使える。
  • 最初の授業に合った配分。 本書の半分以上が、遺伝学の最初の授業で学生が最もつまずきやすい伝達遺伝学と染色体にあてられている。量的遺伝学と集団遺伝学にもそれぞれ一章が割かれており、ごく短い入門書ではこれらが省かれがちである。
  • 幅広い生物種。 例は昆虫、植物、動物、ヒトから取られており、ヒトや医学の遺伝学に限られていない。

短所

  • 分子生物学とバイオテクノロジーが単純化されている。 初版の書評は、遺伝子操作の章をよく書けているが遺伝子工学の複雑さを伝えるには単純すぎると評し、家畜を「バイオ工場」とする記述を誇張として指摘した。分子遺伝学は3章だけで、遺伝子調節やゲノミクスの独立した扱いはない。
  • 分子の章は古くなっている。 第2版は2014年の刊行で、それ以降の進展、とりわけゲノム編集と塩基配列決定は本書の範囲外である。
  • 全体を通じて入門レベルの深さ。 量的遺伝学と集団遺伝学はそれぞれ約20ページで導入されるにとどまる。集団遺伝学をさらに学ぶ学生には専門書が必要である。

コースにおける位置づけ

遺伝学コースの書目の中で、本書は最初に読む教科書である。Jonathan Slack の Genes: A Very Short Introduction は、分子生物学、集団研究、進化において「遺伝子」が何を意味するかを論じた専門的でないエッセイだが、本書はそれより要求が高い。方法(交配、カイ二乗検定、地図作成、ハーディー・ワインベルグ)を教え、問題を課すからである。概念のためにスラックを読み、それを使いこなすためにトーマスを読むとよい。

トーマスは二冊の網羅的な主教科書への準備にもなる。Griffiths らの Introduction to Genetic Analysis は古典的な遺伝を分子機構や現代のゲノミクスと結びつけ、問題演習を通じて教える。Snustad と Simmons の Principles of Genetics は古典遺伝学と分子遺伝学、ゲノミクス、バイオテクノロジーを詳しく扱う。どちらもトーマスの後に読むことができ、あるいはそれらと並行してトーマスを使い、メンデル遺伝の章を固めることもできる。第10章は Hartl と Clark の Principles of Population Genetics への、第11–13章は Terry Brown がゲノム全体を扱う Genomes 5 への第一歩となる。

本書の使い方

本書は、大学で初めて遺伝学に出会う学生(生命科学以外の課程の学生を含む)や、基礎を必要とする医療従事者に向けて書かれている。高校の生物で足り、数学は基本的な算数、確率、カイ二乗検定程度である。

実践的な読み方は次のとおり。

  • 中核、順番に: 第2–7章。各章は前の章の交配を土台にしており、先へ進む前に章末問題を解くことが、この分野を身につける主な方法である。巻末の解答を見る前に、まず自分で各問題に取り組む。
  • 次に: 染色体異常を扱う第8章、続いて量的遺伝学と集団遺伝学の第9–10章。授業で後に扱うならば後回しにしてもよいが、第10章は進化の授業の前に読んでおく価値がある。
  • 分子の章: 第11–13章は短い。すでに分子生物学を知っている学生は流し読みでよい。そうでない学生はこれらを読み、その後、遺伝子調節や現代の技術について分子生物学の教科書で補うとよい。
  • 参照用: 他の遺伝学の本を読むときには用語集を使い、次の段階には読書案内を使う。

講義の問題集や Griffiths のより大きな問題集と組み合わせ、第13章はゲノム編集に関する最新の資料で確認するとよい。